子供達を殆ど完全に国家に渡してしまわなければならない事を、認め
る事が先ず必要である。表面上は、母親は未だ此等の学校に子供に会い
に来るが、現実には、此の間に子供の田舎への派遣を挟まなければなら
ない。当局の全体的な気持ちとしては、母子間の絆を断つ方向に向いて
いる様に思えた(完全に子供の情緒不安定、不良な人間を作る目的であ
る!忍)(同上、P.66.)
宗教に関しては、ボルシェヴィキは其のプログラムを完全には履行出来ない様に見える。教会は冒涜、破壊され、聖像は壊されて唾をかけられ、数多の聖職者が殺されたけれども、宗教的礼拝は、フランスの恐怖政治時代の様に、公式に禁じられてはいなかったからである。しかし此の問題に就いてのソヴィエト政府の意図には、誤解の余地は無い。今一度ブハーリンの言に眼を転じれば、次の教義が規定されている事が分かる。
此の目的(国民の心を鈍化させる事)(日本で今一番行われている!忍)
を達成する作用の一つは、神と悪魔に対する信仰でであった。大勢の人
々が此れを全て信じる事に馴れて来ている。其れでも、若し吾々が此等
の観念を分析し、宗教の根源と、其れが何故ブルジョアジーによってか
くも強く支持されているかを理解しようと努力すれば、宗教の真の意義
は、今以て国民に浸透しつつある毒薬であると云う事が明らかになろう。
更に又共産主義政党が何故宗教の強い敵対者であるかもはっきりしよう。
(『世界革命プログラム』、P.73.)
更にブハーリンは「宗教は国民の阿片である」と云うマルクスの警句を採って、如何なる宗教的信仰からも生じる精神的墜落を明らかにし、彼の結論を大きいゴシック文字で次の様に強調する。「宗教に対して戦わねばならない。例え暴力に依ってでは無くとも、兎に角議論に依って」
其の上ブハーリンは、全ての宗教が禁止に該当すると云う(此れは単なる神に対する憎しみの言葉である。善悪判断で物事を言っていない。此れを言う事に依って、神々が人類誕生から文明の歴史を通して善悪の方向性を説いた倫理の遺産を全て捨て去る事を意味しているのです!忍)。彼は断食と苦行の寓を述べた後、下記の様に付言している。
「敬虔なユダヤ人、回教徒トルコ人、仏教徒中国人、要するに(善なる
!忍)神を信じるあらゆる人に依って、同じ様に愚かな事(神が決めた
《愛の法》を汚している言葉!忍)が行われる。……宗教は……人々を
野蛮状態に置くのみか、奴隷状態に置くのを助ける。」
(此の言葉は、180度逆で、神の宗教の「愛の法」を破壊する事に依って、人々を野蛮状態に置くのみか、奴隷状態に置くのを助ける事を目的した謀略理論である!忍)
此等の言葉を聞くと、「イエス・キリストの個人的な敵」であるアナカルシス・クローツが、「全宗教の無価値」について語る演説を再び聞いている様な気がする
此等の全ては、ワイツハウプトやクローツやアルタ・ベンディタ(オート・ヴァント)の頭領達に、プルードンに、又バクーニンに、其の反宗教の炎が次々と燃え盛った彼のイルミニズムで無くて、一体何であろうか。実際に露西亜・ボルッシェヴィキは、イルミナティの最終目的、即ち基督教文明の破壊を素直に認めている。カルティユ・フォルスター(Courtier Forster)師が不幸な国から帰国した時言った。
「私が訪れた露西亜の先々で、『文明は全て誤っており』、始末してし
まわねばならない、とボルシェヴィキが私に明言した。レーニンの高弟
の一人は次の様に述べた。『我々はもう2年間活動しており、其の成果
は御覧の通りだが、世界の文明を破壊するには12年掛かるだろう』と」
レーニンの従順な弟子であるランズベリ(Lansbury)は、露西亜訪問後、『デーリー・ヘラルド』紙の短評欄(コラム)で同じ気持ちを繰り返した。
「人間は、文明と呼ぶものの幕開け以来、誤った道を歩んで来たと我々
は信じる」
何と此れは、約百年前にイルミニズムの影響を受けて、ロバート・オーエン(Robert Owen)が用いた言葉とそっくり同じでは無いか!
此の説が頑固に持続されている事に対する今一人の証人は、H・G・ウェルズ(Herbert Georce Wells 1866ー1946)である。彼の著『世界文化史体系』の完結章や、露西亜に関する論説に述べられた未来の構想(ヴィジョン)は、ルソー、ワイスハウプト、クローツ、バブーフ等の思想を単に複合したものに過ぎない。『世界文化史体系』の終りで、ウェルズは「放浪生活」ーーバウエルがワイスハウプトの説を述べるのに用いたのと同一の表現ーーへの部分的復帰を予期しているが、一方此の著書の国際共産主義に関する考え方は、純粋にクローツ的である。
『サンデータイムズ』紙上のウェルズが今唱えている「世界国家」は、クローツの「世界共和国」で無くて何であろう。或いは又、国籍を無視した全ての国民間の連合と云うウェルズの考えは、クローツの「人類の団結」で無くて何であろう。都市問題に関して、続いてウェルズが述べる並外れた所論の系譜は、如何に奇妙な事に、彼が「イルミナティ化した思想に染まっていた事を示し、又付随的に、「進歩的思想家」と云う名声を勝ち得る方法を例を以て示している(基本的に、悪魔王国の青写真が、H・G・ウェルズの『公然たる陰謀ー世界革命計画』に著述している。一部は自分のHPの悪魔王国に著述している。更に抜粋すると、
「新共和国の人々は、死に直面するか又は死を課せられるか、何れにし
ても怖がらないだろう。……彼等は殺人は遣りがいのある事だと云う考
えを持つ様になる。アブラハムの様に殺しの信仰を持ち、死に対する迷
信は持たなくなるだろう。私は予感しているが、一定の割合の人口は同
情心や忍耐心から大目に見られ、繁殖しないと云う了解に基づいてのみ
存在していると思う様になるだろう。しかし私は、寛容さが乱用された
時には、躊躇わずに殺害する事に反対すべき理由があるとは考えていな
い。……こうした殺人は全て鎮静剤で処理されるだろう……未来の掟の
中で犯罪阻止の見せしめの懲罰が用いられるとすれば、其の懲罰は死で
も身体の切断でも無く。適切な科学的苦痛となるであろう(此れは悪の
異星人の支配している惑星の中身!忍)」
「『公然たる陰謀』の政治世界では、既存の政府を弱体化し、減らし、
合体し、取り替えなければならない。『公然たる陰謀』は社会主義と共
産主義の婉曲語法の継承者であり、ニューヨークを支配する前にモスク
ワを支配しているかもしれない。『公然たる陰謀』の性格がはっきりと
表明される様になるだろう。其れは世界宗教である(今、現在はマイト
レーヤ!忍)。此の大きく締まりの無い類似した膨大な集団と社会は、
確実に世界の全人口を覆い尽くし、新しい人間共同体になるだろう」
「全世界に教義を与え、直接公共サービスを最終的に提供する組織、私
が『公然たる陰謀』と呼んでいる此の組織は、全人民に課される直接的
課題であり、計画された世界国家は多くの場所で出現しつつある。事故
(又は危機)が最終的に世界国家の出現を加速する時、余りにも早く到
来した様に感じられるだろう。時々私はプロパガンダと教育の世代が先
行するかもしれないと思う事がある。人類の為の共通の教義と法律が存
在する筈だ……」
「『公然たる陰謀』は先ず最初に、知的で、或る場合には富貴な人々の
自覚的組織として出現すると私は信じている。此の組織は明確な社会的
・政治的目標を掲げ、既存の政治支配組織の大部分をはっきりと無視す
るか、若しくは其れを舞台の副次的な小道具としてのみ利用する運動と
して、詰まり多くの人々を或る方向へ誘導する運動として出現するだろ
う。多くの人々は、軈て一種の驚きを持って全員が向かっている共通の
目標を発見する事になる。知的で富貴な人々は、あらゆる手段を使って
表向きの政府に影響を与え、支配するであろう」
此れ程、悪の思想を持っているH・G・ウェルズは、日本国憲法の大御所である「小林直樹」教授が高く評価している。此の辺りは『300人委員会(第3版)』ジョン・コールマン博士著 島講一訳の本の中で、題目『H・G・ウェルズと日本国憲法』の名の註釈を書いている。其れを引用すると「ウェルズの名前は『タイム・マシーン』等によってSF作家の先駆として日本でも良く知られているが、次の様な事実は意外に知られていない。詰まり第二次世界大戦後に広がった<人権>思想の根幹にあるのがウェルズの<人権>構想だと云う事実である。『H・G・ウェルズと日本国憲法』(思索社刊)を著したウェルズ研究家の浜野輝氏は、此の人権構想と『人類の運命』及び『新世界秩序』の二著から《日本国憲法の原典たるサンキー権利章典が直接に生まれた》とし、サンキー権利章典は人類史上最初の世界人権宣言であり《此の宣言との関係からして日本国憲法にも当然新世界秩序確立の為の諸運動が脈打っている事を我々は認めなければなるまい》とH・G・ウェルズの業績を「高く」評価している[小林直樹監修・浜野輝訳『人間の権利』日本評論社刊、130〜33頁]。日本の憲法論議に反面教師として一石を投じる「貴重」な見解では無かろうか?」と。)。
パウエルは次の様に説明した。ワイスハウプトの計画は、人間が放浪生活に戻る様に定住所を廃する事であり、又フランス・ジャコバン党が仏国の生産都市の破壊を始めた時、其の背後で影響を与えたのも此の計画であった、と。彼はワイスハウプトの原著から、「自由で平等であれ、さすれば汝等は世界主義者にして世界市民たるであろう。平等と自由を如何に評価するかを知れ。さすれば汝等は、ローマ、ウィーン、パリ、ロンドン、コンスタンティノーブルの焼失を見るを恐れざらん”……」を引用している。既述の様に、此の計画は1871年のパリ・コミューン期間中に実行され、今だに世界革命プログラムの重要な一部を形成している。
1796年にイルミナティのバブーフは、賃金奴隷制が跋扈し、資本家が奢多と見栄に囲まれて過し得るのは都会であるとして、軈てフランスの全ての大都市は消失すると云う希望を表明した。
70年後、独国 イルミニズムの影響を受けたニヒリスト達が宣言した、「都会を焼き払わなければならない。……此等都会の利点とは何だ。其れは只隷属を産み出すのに役立つだけだ!」(此れは可也可笑しい。)
そして1920年、H・G・ウェルズは、ボルシェヴィズムに依る露西亜の町々の破壊行為を、次の言葉で弁解している。
「其れは此の様な偉大なとても信じ難い都会を建設した共産主義では無
く、資本主義であった」と。
此れは余りにも馬鹿馬鹿しい議論である。……我々は只、其れを提言するに際してウェルズは、露西亜人達から聞いた文句を単に繰り返しているに過ぎない、としか言い様が無い。此の友人達は、都会を抹殺する必要があると云う思想を、秘密結社を通じて、ワイスハウプト直系として継承して来たのである。
此の様な思想が、如何なる国の「国民」の望みとも決して合致しない事は明らかである。露西亜農民と雖も、未開状態への復帰は望まず、他方西欧州のプロレタリアートにとっても、都市の破壊程忌まわしいものは無いだろう。彼等は多忙な都市生活と全ての文化施設を愛している。より良い住まい、より高い生活水準を求め、女子労働者の重荷を軽くするであろう現代的便益を求め、科学装置を求め、余暇を楽しませる映画や音楽を求めている。放浪者になる事で住宅問題を解決しよう等とは望んでいない。社会悪ーースラム街、低賃金に依る労働者の酷使、失業、搾取、ーーの解決法は脱文明では無く、一層の文明化である。「国民」は此れを良く承知している(此れは、昔は文明が無かったとの話を前提している。実際は違う。今よりも最と高度な宇宙文明があった。しかし、人間の心の悪が文明を破壊させ、又は処罰された。技術其の物よりも、其の使い方によって、悪になり、又は善になるのである。飽く迄も良心の下での行動しか許されないのである。西洋人の頭に無い概念は、此の地上では、「宇宙の法」に絶対的な支配されている事の認識が少ない事です。人間は、「自然」の中の調和にあった文明の発達しか許されないのです。其の認識が西洋人は少ないのです。だから、東洋の文明の底が見えないのです!忍)。こうして革命指導者のプログラムは、往来もずっとそうであった様に、今尚国民の願望とは真っ向から対立するのである。
もし此の点に関し尚疑問が残るとすれば、或いは又、若し此の著書(『世界革命とイルミナティ』ネスタ・H・ウェブスター著 馬野周二訳 東興書院)に述べた世界革命の歴史が、此の140年間の革命運動は、国民の利益と要求とは全く無関係な目的を持つ陰謀の仕業であった、と云う事を証明していないとすれば、否定出来ない次の事実を如何に説明すれば良いのか。
1、此の期間を通じて国民の不満の種は、文化状態の変化に伴って変わって来たが、
社会革命のプログラムは決して変わらなかったと云う事。何故なら、次々起こる暴動
が国民に依って起こされたものなら、各々の暴動は其の時其の時の緊急要件から生
じる異なる標語(スローガン)、異なる目的が特徴となっていたであろうに、実際はそう
では無く、同一スローガンで実行され、同一標語を繰り返し、何れもが最も早い企てーー
そして1917年迄は最も成功した企てーー、即ち最初の仏国革命をそっくり真似て来
たからである
2、運動の指導者達が、一般大衆から出た人間であった事は唯の一度も無く、常に
抑圧の犠牲者とは到底見なし得ない上流或いは中流階級の人達であった事。そして
もし此等の人達が、彼等自身の者で無い主張を掲げて戦う私心の無い熱狂者である
事に異議があるとすれば、其れはーー。
3、ルイ・ブラン(Louis Blanc 1811−82)の様な数少ない例外はあるが、彼等
は終始変わらず、国民の苦しみに対して完全な無関心を、又人間生活に対して徹底
的な軽視を見せた事。恐怖時代の仏国法廷のジャコバン党員が、労働階級に属する
個人に対して同情或いは共感を示したと云う例は、未だ曾って記録された事は無い。
反対に彼等はあらゆる不平に少しも耳を貸さなかった。マルクス主義者とバクーニン
主義者達は、国民を「大砲の餌食」にしているとして互いに相手を非難し合った事。
4、何れの暴動も、国民の主張が絶望的になった時では無く、大改革の前夜に勃発
した事。
5、暴動の後には何れも改革では無く、反動の期間が続いた事。最初のフランス革命
後の20年間は、当しく「改革」と云う言葉は、英国でさえ殆ど口に出す事が出来なかっ
た事。
6、各々の暴動が国民の運動を逆戻りさせた、と云う事実があるにも関わらず、国民
には各々が一歩前進だと説かれ、次の革命が唱えられて来た事。
従って1776年から今日に至る革命運動は、其れ自体の目的の為のもので、国民
の利益とは相反して働く連続的な陰謀の仕業なのである。
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此の秘密主義は彼が考え出したのではない。此れは謎に満ちた「刀剣騎士団」(訳者注 13世紀バルト沿岸のリボニアを、基督教布教を名目に席巻きした刀剣士修養会)の伝統で、指導者スターリンが共産党に与えた呼称である。スターリンは此の伝統を絶対的なものにした(1920年前後は、未だユダヤ人レーニンの活動が活発であった事を忘れてはならない。最初の政治局員はレーニン、トロツキー、スターリン、カーメネフ、ブハーリンの5人だった。此の5人で決めた内容である!忍)。(『赤いツァーリ ー スターリン、封印された生涯』エドワード・ラジンスキー著 NHK出版)